Tidy Firstを読んでてオプションの考え方が出てきた(読書メモ『Tidy First?』)。そういえば時々読んでる本にオプションの話が出てくるなと思ったので、ちょっとメモしておく。
『エンジニアリング組織論への招待』
この本ではシステム開発にともなう不確実性とその対処法についていろいろと書かれていて、ソフトウェアのニーズの不確実性を下げるための方策として、リアルオプションが紹介されています。
仮説の検証の仕方は、ペーパープロトタイプでもユーザーヒアリングでもテストマーケティングでもよく、重要なのは、「意思決定を遅延させるための『権利』を獲得するアイデア」を作ることです。
将来の予測がつかないような世の中だからこそ、率先して不確実性を味方につけなければ、確実なものにしか投資できず、むしろ失敗をしやすくなってしまいます。期待値で割に合わないから、そのプロジェクトを進めるべきでないという考えは合理的なものですが、そのとき、足りないのはむしろ、最小限の仮説検証というオプションのアイデアなのかもしれません。
オプション・バリュー 「選択できる」ということの価値
山口周さんのオプション・バリュー 「選択できる」ということの価値というnoteの記事も面白かったです。有料部分は紹介できませんが、個人のキャリアや起業の戦略の観点からオプションについて書かれています。
これを逆にいえば「オプションが減る」という打ち手は、それがたとえ、その時点で何らかの具体的な損失を意味しないとしても、想定外のことが起きた時に転身・停止・撤退のオプションが取れないことで、下手をすると命取りにつながる可能性があるため、常に悪手であるということを念頭においておくことが必要です。
このアイデアを最も洗練させた形で実装し、外交の力で覇権を打ち立てたのが近代のイギリスでした。京都大学名誉教授の国際政治学者、中西輝政先生は、19世紀から20世紀前半にかけての「パックスブリタニカ(=英国支配による平和)」を可能にした外交手腕の基本原則を、次のように簡潔に表しています。
早く見つけ、遅く行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する
『反脆弱性』
この本がオプションについて一番いろいろと分かった。考えなくて後から得することを選べるようなものがオプションだ、と言っていてめちゃくちゃ面白い。オプションは金融から来た考えだから難しい理屈な気がしていたけど、この本を読んでいると理屈をこねくり回すようなものはオプションが分かっていないと思えた。
「オプション性がある」ときには、知能、知識、洞察、スキルと呼ばれているような、脳細胞の中で起こる複雑なメカニズムはあまり必要ない。そうしょっちゅう正しい判断をしなくてもいいからだ。必要なのは、自分を傷つけるようなバカな行動をしない分別(=不作為)と、自分に有利な結果が起きたときに見極める能力だ(前もって見極める必要はない。結果が起きてからでいいのだ)。このような、私たちがバカになれる性質、言い換えれば知識が保証するよりも多くの結果を期待できる性質を、ここでは「賢者の石」と呼ぶことにする。
Unsplashのhannah joshuaが撮影した写真